空き家の解体費用は一般的に、延床面積に応じて数百万円かかります。自治体の補助金制度を活用すれば負担を大幅に軽減できます。
ここで、2025年の情報をもとに空き家解体補助金の例を確認しながら、一般的な流れや解体業者選びまで整理してみましょう。
空き家解体補助金とは
空き家解体補助金は、老朽化した空き家の解体費用の一部を自治体が負担する制度です。増加する空き家問題に対応するため、危険性の高い建物の除却を促進し、地域の安全確保と景観維持を目的としています。補助金額は自治体によって異なり、上限10万円から60万円程度と幅があります。
ここで、東京各地の補助・助成の例をいくつか確認してみましょう。
※情報は2025年現在のものです。詳細は各見出しのリンクからご確認下さい。
……10万円を限度として、解体費用の2分の1を補助する制度です。東京都空き家ワンストップ相談窓口への相談が条件となっています。
……住宅地区改良法に規定する「不良住宅」に該当する場合に、上限50万円(無接道敷地は上限100万円)で除却費用の2分の1を助成する制度です。なお、敷地を原則10年間にわたって区に無償貸与する場合には、200万円まで全額助成されます。
……震災時に火災の発生や建物倒壊の危険性が高い地域で、耐震性が不十分な木造住宅の建替え・除却を対象とする助成制度です。除去については、延べ面積1平方メートルあたり34,000円未満かつ耐震補強工事に要する費用を下回る場合に、150万円まで全額助成されます。
……50万円を限度として、除却工事費の3分の1以内で補助する制度です。さらに「整備地域不燃化加速助成制度」を利用すると、上限120万円まで補助を受けられる可能性があります。同様の制度は、台東区などにも存在します。
補助対象となる空き家の一般的な要件
空き家解体補助金を受けるためには、対象となる建物が一定の条件を満たす必要があります。以下の要件は全国の自治体で共通して見られる主な条件ですが、地域によって細かな違いがあるため、必ず自治体の窓口で確認することをおすすめします。
- 1年以上の未使用状態(水道使用履歴で確認)
- 1981年以前建築の旧耐震基準物件
- 住宅地区改良法上の「不良住宅」などに該当
- 災害リスクの高い地域(防火地区・準防火地区など)
- 固定資産税・都市計画税の未納なし
- 解体後の土地活用計画の提出(新要件)
- 近隣住民への事前説明の実施
- 登記事項証明書との所有者一致
空き家解体補助金申請の流れ・解体業者との契約のポイント

空き家解体補助金の申請は複数のステップがあり、適切な順序で進めることが重要です。また、解体業者選びは補助金申請の成否に直結します。補助金申請に精通した業者を選ぶことで、手続きの負担を軽減し、スムーズに補助金を受け取ることができます。以下では申請の流れと業者選定のポイントを解説します。
空き家解体補助金申請の一般的な流れ
空き家解体補助金の申請から受給までには、一例として以下のような流れがあります。この流れは、自治体および制度の種類によって異なるため、交付決定が解体より先か・後かに注意しつつ確認が必要です。
- 自治体空き家対策窓口での事前相談(必須)
- 建築士による危険度診断書の取得
- 3社以上の業者見積もり比較
- 近隣住民説明会の実施
- 土地活用計画書の作成
- 申請書類のオンライン提出(2025年4月~)
- 現地調査(3Dスキャン導入自治体増加)
- 補助金交付決定通知(審査期間平均45日)
- 着工前の近隣説明資料提出
- 完了報告と補助金請求(AI写真審査導入)
ほかに注意したいのは、事前相談もしくは申請書類提出の段階になって「予算の都合で早期に締め切られてしまう」といった場合もありうることです。
さらに、アスベストの有無も問題です。アスベスト(石綿)が建物に含まれるケースでは大幅に見積もりが増加することが多く、とくに古い建物だと、調査が完了するまで予算がはっきりしないと考えたいところです。
解体業者と契約するときの5つのチェックポイント
解体業者を選ぶ際には、見積もりの安さ・補助金申請支援の有無だけでなく、解体スキルにも注目したいところです。基本的な業者選定の基準としては、下記が挙げられます。
- 補助金申請代行費用の明示(相場3-5万円)
- 住民説明会資料作成の有無
- アスベスト処理の対応資格
- 災害補償保険の加入内容
- 完了証明書(※滅失登記の時に必要)発行までの流れ
解体業者のスキルや仕上げの質は、業者によって差があります。指摘するまでもなく適切な工事を実施できる業者であり、かつ、近隣対応がきちんとできるトラブルの少ない業者であることが重要です。
まとめ
空き家解体補助金は、解体費用の負担を大幅に軽減できる有効な制度です。利用にあたっては、自治体によって制度内容や申請条件が大きく異なるため、まずは所在地の自治体窓口で詳細を確認するようにしましょう。
申請には時間がかかり、予算枠に限りがあることも多いため、早めの行動が大切です。適切な業者選定と計画的な申請により、費用負担を抑えながら安全に空き家問題を解決できます。